Zen3はリーク以上の超高性能!28%の性能向上でゲームでもついにインテルを突き放す。発表内容の詳細を解説!
日本時間の10月9日午前1:00、ついに待望のZen 3アーキテクチャのRyzen 5000シリーズが発表されました。
発表前にはさまざまなリークが飛び交い、性能について予想されてきましたが、今回はそのリークをいい意味で裏切る高性能なCPUが発表されました。
その発表の内容を以下にまとめます。
- CCX廃止、L3キャッシュ2倍、IPCは19%向上、ワッパも改善
- ゲームでは最大50%のfps向上、Cinebench R20は631
- ラインナップは4種、価格はZen2から$50上昇、発売日は11/05
- まとめ
CCX廃止、L3キャッシュ2倍、IPCは19%向上、ワッパも改善
まずはZen 3は具体的にどのように進化したのか。
Zen 3ではアーキテクチャを根本的に改善し、Zen2世代から大きな変化を遂げています。
発表されたその変化内容と、何がすごいのかを順に解説します。
CCXの廃止に伴う8コアでのCCX跨ぎに伴う遅延の低減
事前に言われていた通り、Zen3ではCCXが廃止されて1CCD8コアに変わります。左がZen2、右がZen3の構造です。
Zen2ではこのCCXを超えた処理を行う際、CCX跨ぎと呼ばれる現象によって小さな遅延が発生していましたが、今回はそのCCXが廃止されたことにより遅延が発生しなくなります。
高フレームレート環境のゲームではこの遅延が性能の低下に繋がっていると言われていましたので、今回それが廃止されたことによるゲーム性能の向上が期待できます。
L3キャッシュを2倍に増量し、ゲームなどで顕著なメモリアクセスによる遅延の低減
次に、CCXを廃止し1CCD8コアの構成になったため、1CCXあたり16MBで割り振られていたL3キャッシュが1CCD32MBに統合され、相対的にL3キャッシュの量が倍増したことになります。
大きなL3キャッシュはメモリアクセスの頻度を減らすことができるため、メモリアクセスによる遅延が少なくなります。
ゲームなどでは特にメモリアクセスの遅延がフレームレートに影響を及ぼすため、メモリアクセスを減らせることはフレームレートの向上につながります。
IPCの19%向上
Zen2世代と4GHzでの処理性能を比較したときに19%性能が向上するようです。
IPCに関してはZen2世代で既に競合のインテルを凌駕していましたが、今回Zen3ではそのZen2から更に19%向上するということですので驚きです。
計算上、現状IPCが一番高いと言われているIntelのTiger lakeのCPUを大きく上回るIPCだということになります。
ワットパフォーマンスもZen2から更に1.2倍に
Zen2世代の3900XTで初代Ryzenである1800Xの2倍のワットパフォーマンスがありましたが、Zen3ではZen比で2.4倍のワットパフォーマンスが見込めるようです。つまりZen2比で1.2倍です。
さらに、競合のインテルの最上位CPUであるCore i9-10900K比で2.8倍の電力効率を見込めると主張。
10900Kのほうは14nmで停滞していますのでワットパフォーマンスが悪いのは周知の事実ですが、それにしてもその3倍近い効率の良さを発揮するとはすばらしいですね。
ゲームでは最大50%のfps向上、Cinebench R20は631
次は具体的なフレームレートやベンチマークの性能についての発表です。
まず冒頭で3900XTと5900Xの「SHADOW OF THE TOMB RAIDER」のfpsが比較されました。それによると平均fpsが3900XTで141pfsであったのに対し5900Xでは181fpsと約28%のフレームレートが向上。
また、以下に示す通りその他のゲームでも大きく性能が向上しています。
ゲーム性能の26%向上、10900Kを上回る性能を発揮!
「LEAGE OF LEDENDS」では50%、「CS:GO」では46%ととても大きく性能が向上しています。
ほかにも人気バトロワの「PUBG」でも33%、インテル有利と言われていた「FAR CRY」でも22%の向上、その他の多くのゲームで平均26%の性能向上を果たしました。
そして多くの人が気になるインテルとのゲーム性能の比較が以下です。
競合のCore i9-10900KとRyzen 9 5900Xのゲーム性能の比較では、ほぼ全てのゲームで5900Xが勝っていることが分かります。「BATTLEFIELD V」の-3%が気になるところですが、ほか全てのゲームで+になっています。
「CS:GO」では+19%と圧勝、インテル有利なゲームと言われていた「FAR CRY」でも+2%と競合インテルを圧倒しています。
Cinebench R20のシングルベンチマークでは10900Kに圧勝
そしてCinebench R20のシングル性能比較ではCore i9-10900Kのスコア544に対し5900Xは631と90近い大差をつけて圧勝。10900Kなどでは全く相手になっておらず、現状シングル最高峰であるTiger lakeですらCinebenchのスコアは598ですので、それをも大きく上回るシングル性能です。
あまりのスコア差に勘違いしてしまいそうですが、間違えてはいけないのはこれはシングル性能の比較でありマルチ性能の比較ではないことです。これをマルチ性能に換算するとさらに大きな差が開くことになります。
最上位の5950Xの性能比較
最後に5950Xの性能比較も公開されました。
3950X比でレンダリング性能が12%、CADでは27%も性能が向上。
競合との比較でもレンダリング性能では10900Kの1.6倍の性能を発揮し、もちろんゲームでも10900K以上のパフォーマンスを発揮するようです。
ラインナップは4種、価格はZen2から$50上昇、発売日は11/05
ラインナップ と価格は、
- Ryzen 5 5600X 6コア/12スレッド 4.6GHz ($299)
- Ryzen 7 5800X 8コア/16スレッド 4.7GHz ($449)
- Ryzen 9 5900X 12コア/24スレッド 4.8GHz ($549)
- Ryzen 9 5950X 16コア/32スレッド 4.9GHz ($799)
の4種。
Zen2では3600、3700Xがありましたが今回は5600、5700Xといった下位モデルは発表されておらず、価格はZen2の同グレードからそれぞれ$50増加。
また、5600X以外にはクーラーが同梱されないことにも注意が必要です。
発売日は5950Xも含めて11月5日です。
詳しい仕様はAMD公式ホームページでも確認できます。
まとめ
今回のZen 3は過去に例を見ないほどの大きな性能向上となりました。
たびたび強調されてきたため多くの人が注目していたゲーム性能も競合のインテルについに勝利をおさめたと言えるでしょう。
19%のIPC向上に周波数の微増、実際のベンチマーク性能とリークを上回る高性能を見せつけたZen 3。
$50増でも欲しい人は溢れかえっており、発売後すぐに品薄になる可能性が大きいです。欲しい人は購入の機会を逃さないよう最新情報を入念にチェックするようにしましょう。