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鬼滅の刃歴代興収1位で浮き彫りになる鬼滅ブームの異常さ。

鬼滅の刃映画イメージ
2020年12月27日、ついに鬼滅の刃の興行収入が千と千尋の神隠しを抜き、321億で歴代1位を記録したと発表された。
更に2021年5月24日には国内興収400億、世界517億を達成。
19年ぶりに興行収入1位、そして国内初の400億を更新した鬼滅の刃は文句なしに偉業と呼べるはずなのだが、実際には否定的な意見が後を絶たない。
「千と千尋の神隠しを抜いてほしくなかった」「鬼滅の刃は名作にはなりえない」「鬼滅の刃は特典で釣っている」といった声をTwitter上などで散見する。
さて、今回の鬼滅の刃の記録が世間に広く受け入れられないのは何故だろうか。
その理由を筆者の見解も交えながら考えたいと思う。

鬼滅の刃の異常な流行はそもそも話が面白いからではなかった

筆者は生粋のジャンプ読者で、鬼滅の刃も連載開始時から毎週読んでいた。
鬼滅の刃が流行る(アニメ化)以前ジャンプで読んでいた時の感想は「特にない」だ。
特別面白くもないし絵が上手いわけでも続きが気になるわけでもないし、だからといって読むのが苦痛というわけでもない。
当時の新連載陣と比較して、打ち切りにならない程度、という認識でしかなかった。
実際今まで一度も鬼滅の刃が特別面白いと感じたことはない。
そして多くのジャンプ読者が似たような感想を抱いていたと思う。それは掲載順位を見ても明らかだろう。
実際筆者の周りのジャンプ読者は例外なく全員鬼滅の刃が面白いとは言わなかった。
筆者の知り合いには打ち切りになると思っていた、と言う人も多かった。

ところが、アニメが放送されるとTwitterなどを中心に「この作品の作画がすごい!」と話題になった。
主に善逸の霹靂一閃のシーンなどが拡散され、筆者自身も確かに作画がすごいな、と感じたが、それをきっかけにして今回の異質なブームが始まったように思う。

連載当初は話題にもならず、アニメ化当初は作画がすごいと話題になっていたはずの鬼滅の刃が、いつの間にか感動する、面白いといった感想で埋め尽くされ、異常な流行へと変わっていった。
なぜか小学生がこぞって鬼滅の刃を視聴するようになり、「全集中」「○○の呼吸」というワードが飛び交うようになり、その親、家族も一緒になって鬼滅の刃を広めていった。
Twitterなどでも頻繁に「鬼滅ネタ」がバズるようになり、こぞって鬼滅ネタを使うようになった。
話題が大きくなるとメディアにもてはやされるようになり、そのブームは更に加速していった。
LiSAは紅蓮華で紅白に出場し、鬼滅ハラスメントといった言葉まで飛び交うようになった。
そして流行が始まったころからこの流行を疑問視する人は多くいて、Twitter上などでは「信者」との対立が相次いでいた。
鬼滅ハラスメントという言葉が出てきたのも、そういった疑問の声が浮き彫りになった証拠だろう。

しかし大きな話題になればメディアをはじめ商売をするものなら誰でもこの波に乗っかろうとするわけで、多くのゲームがこぞって鬼滅の刃コラボを開催、観光地などでも鬼滅の刃グッズが多く見られるようになった。
少し外を出歩けばどこにでも鬼滅の刃が絡んでいるのである。外に出なくてもネット上などでも常に鬼滅の刃をどこかしらに見かける。
異常なブームに辟易していた筆者はTwitterのミュートワードに「鬼滅」「~の呼吸」などを入れて少しでも目に入らないようにしていたが、しょっちゅう鬼滅の刃関連のワードがトレンド入りしていたし、焼け石に水状態であった。
それほどまでに異常な流行りを見せているのである。

ではなぜここまでのブームに発展していったのか、もう少し詳しく考えてみたいと思う。

小学生を中心に大きな同調圧力で加速した鬼滅の刃ブーム

鬼滅の刃が流行ると、それをきっかけに「周りが見ているから私も見る」「みんなが面白いって言ってるから私も言う」という層が多く出たはずだ。
実際筆者も今までにそういった経験はいくつもある。
この問題点は「つまらないと感じてもそれを言わない」ことである。
「鬼滅の刃はとりあえず見たが別に面白くなかった」という人は一定数いるはずだが、それを公言する人はほとんどいないのではないだろうか。
「みんながハマるなか自分だけつまらないと言う」勇気というのはなかなかないだろう。
学校生活などではそういった些細なことがいじめに繋がることもある。
「周りに合わせてハマったふりをしている」という人も少なくないはずだ。
純粋に作品を面白いと思い、感動し、評価している人がどれだけいるのかは大きな疑問である。

また、小学生というのは純粋で知識や人生経験も少ないので、「面白くないことすら理解していない」という人も多いと思う。
どういうことかというと、鬼滅の刃以外の作品をほとんど知らないので「他の作品と比べてつまらない」という意見に繋がらない人が多いということである。
周りが面白いと言うので見て、「面白いのレベルはこんなもん」と錯覚している人もいるのではないか。
小学生でなくとも、鬼滅の刃で初めてアニメや漫画に触れたという層も多いはずだ。

こういった要因が「マイナスの意見」を押しつぶしていき、ブームがどんどん加速していったように見える。
多くの人はマイノリティになることを恐れ、自分の意見を隠してしまうのだ。
特に小学生や中学生ではそういった傾向が顕著に見られるように思う。
それは小学生や中学生の子を持つ親の間でも例外ではないのではないだろうか。

実際は筆者の周りに鬼滅の刃を面白いと手放しでほめる人は一人もおらず、このブームが一体どこから来ているのか、恐怖ですらあるのだが。

鬼滅の刃を認められない層の「的外れ」な指摘と、それをきっかけに加速する対立

鬼滅の刃の映画の興行収入がランキング上位勢を抜き始め、1位が見えてくると、「鬼滅の刃は毎週特典を付けて信者を何度もリピートさせて興行収入を盛っている」という指摘をする人が多くあらわれた。
確かに鬼滅の刃が様々な特典を付けていることは確かだが、特典はどの映画でも当たり前のようにやっていることだし、その指摘は的外れではないだろうか。
仮に特典がなくても信者はリピートするし、多少時間がかかっても結局最後には歴代1位を更新していたように思う。
問題なのはこの異常な流行であり、映画の売り出し方ではないだろう。

しかしそういった指摘が相次ぎ、鬼滅の刃信者はついに千と千尋の神隠しと対立するようになっていった。
実際千と千尋の神隠しを抜いてほしくないという声も多くみられたし、そういう意見があるのは理解出来る。
筆者自身も今回の歴代1位更新には納得出来ない立場だ。

ただ、鬼滅の刃をたたくために千と千尋の神隠しを持ち出す人が増えたおかげで、千と千尋の神隠しを叩く鬼滅の刃信者まで現れだした。
こうなると「鬼滅の刃が認められない層」の肩身がいよいよ狭くなっていく。
特典や千と千尋の神隠しを持ち出してまで鬼滅の刃を叩こうとする人が増えた結果、「鬼滅の刃が嫌いな人」はそういう無茶苦茶なやつらだという認識が強まっていくのである。

それだけではない。
世の中には、「無意識に同調圧力に屈する勢力」というのが多くいて、そういった人たちは鬼滅の刃を見ていなくても「人気なのは鬼滅の刃が面白いからだ」「興行収入がすごい=名作なんだ」と当たり前のように考える。
その結果、鬼滅の刃はつまらないと言えば、信者でも何でもない人からも「お前は社会に適合できない社会不適合者だ」、というおかしな叩かれ方をするようになる(表現は極端だが)。
鬼滅の刃に対する否定的な意見に「逆張りする俺かっこいいと思ってそう」というような煽りコメントが集まるのをよく目にするが、こういうコメントこそが「流行=素晴らしい作品」という脳死した考え方をする人が多い証拠だ。

「否定的な意見に対する否定的な意見」が目立つのはこのような理由からではないだろうか。
鬼滅の刃が認められない層は自らの首を絞めているのである。

最後に

鬼滅の刃が大きなブームとなっていることは抗いようのない事実で、興行収入1位を記録したことも変えることは出来ない。
否定的な意見自体は構わないが、叩きたいあまりに的外れな指摘を繰り返すことだけはしないよう注意すべきだろう。

鬼滅の刃自体が悪なわけでも鬼滅の刃が嫌いな人が悪なわけでもない。
この異常なブームはそのうち収束するだろう。
鬼滅の刃でアニメや漫画に沢山の新規が流入してきてくれているであろうし、鬼滅の刃が好きじゃなくてもそういった点は認めるべきではないだろうか。

お互いに一つの意見として尊重しあっていくことが大事だという自戒の言葉で終わりたいと思う。

記事に対する意見があればコメントやTwitterなどで遠慮なく述べていただきたい。